ブレードサーバーの登場で、ラックあたり8kWなどが普通になって来た今、データセンターの設備効率が再度見直されています。
米国型のデータセンターは、高い床下スペースととてつもなく高い天井、というのが基本です。これは、万が一データセンターの冷房が壊れた時でも、床下に多く蓄えられた冷気が残っているため、熱によるサーバの破壊がすぐに起こらないためです。もちろん、天井が高いので、サーバから発生した熱もすぐに分散されます。大地震のようなカタストロフィーが起きた際でも、一応Tierレベルの高いデータセンターはローカルに非常用発電を持ってますので、電気の供給は数時間途切れることは無いと仮定します。空調が落ちるようなことがあっても、バックアップを確認して、それからゆっくりとサーバを一つ一つ落としておけばいいのです。
こういったリスク回避に注目しすぎるコンセプトの元だと、データセンターの設備は巨大化してゆくばかりです。部屋を冷やすための巨大な冷房機器と巨大な部屋。そして異常に高い床下スペース。冷気をガンガン落とし込み、巨大冷蔵庫を作ってしまうのです。そして、巨大冷蔵庫をサポートできる電気設備も必要となります。建物のジレンマとは、一つを巨大化すると、構造から設備、全てが巨大化してしまうという点です。ここで、デザインをマネージする人のスキルが問われるのです。
最近のトレンドはデータセンターのモジュール化です。これはグーグルやサンが提案してますが、トレーラーのようなモジュール化されたデータセンタールームに、必要最低限の冷房を効率良く持ち込むという方法です。モジュールは出来るだけ冷房効率を上げるために小さいスペースになります。このため、もしも空調が落ちた場合には、サーバがすぐにメルトダウンするというリスクが付きまといます。ですので、モジュール化には、空調設備の冗長化が必至となるのです。
しかし、非常発電も含め、電気設備とPOF(Points of Failure)が異常に多いのが頭痛の種です。発電機ならそのスターター、そして電気を非常発電に自動的に切り替えるATC(Automatic Transfer Switch)、もちろんUPS(Uninterrupted Power Source)も落ちないとは限りません。ラック内冷房や、In-Raw冷房についても、電源の冗長は必要ですので、設計だけでなく、施工の品質がとても大事になります。「モジュール」という言葉だけで気をとられると、その裏に必要となる安定した冗長インフラが頭痛の種となります。冗長性が確実に守られないと、まさかの故障の時にサーバーのメルトダウンはカタストロフィックになるのです。
最近グーグルが特許をとろうとしている方式として、ラック内に冷気の配管を枝葉のように持ち込む方式があります。ラックの温度を感知して、風量が変わるシステムのようです。このアイデアのすばらしさは、今までのラック内冷房機のように、システムが分散していない点です。冷却は多分一箇所で行われ、そこからは機械でなく配管のみです。水も使わない配管が壊れる可能性が少ないですし、壊れても温度センサーで冷気を大目に吹けば大丈夫でしょう。冗長性の確保がキーですが、これはより簡単に管理できそうです。
冷房の分散・ローカリゼーションのもう一つの良さは、建物がコンパクトで済む、という点です。アクセスフロアも冷房のために必要となりませんから、配線のためだけのものとなります。このトレンドはより進んでいくと思います。
最後に、ヨーロッパで人気のある「フリークーリング」です。つまり、外気を使ってデータセンターを冷やす方法です。一番有名な方法として、モジュールごとに外気で冷やすのKyotoクーリングがあります。しかし、このためには年中外気が乾燥しており、20度程度である必要があります。これは東京やアジア各国では使えない方法です。また、フィルターなどのメンテナンスが大変ですね。また、外気を吹き込むための数個の巨大ファンが壊れた場合はそれこそカタストロフィーとなるので、2次的な冷房設備を予備として必要しないといけないかもしれません。
電気設備のトレンドについてはまたいずれ。