私が昔に所属していたシリコンバレーの建設会社、DPRコンストラクションがフォーチュン誌の「最高の職場」(The best place to work)で13位にランクインしました。他のウェブサイトでも、「卒業生が仕事を探すべき会社」の10位にも入っていました。この不景気でも大人気、快進撃を続ける革新的な会社です。その秘密は?
DPRという会社は、昔スタンフォードのビジネススクールで教鞭をとっていたジム・コリンズ氏が起業に関わったことでも知られています。建設会社というと、保守的なイメージがありますが、その保守的な会社に属していた3人が、いままでに無い建設会社をつくろうということでレッドウッドシティで20年前ほどにスタートしました。
面白いのは、「2030年までに尊敬される会社になる」というミッションステートメントの下、まずは会社にとっての価値であるコア・バリューを決めます。別に建設会社であるという前提もありませんでした。Integrity, Enjoyment, Uniqueness, Ever Forwardという4つです。誠意を持ち、楽しみ、独創的で、いつも前進していること。そして、そのまた下に、よりイメージが明確となるVivid Descriptionsという具体的な会社像が書かれています。プロジェクトレベルでも、成功のための指標として、会社のゴールと結びついたCritical Success Factorsというものが決められ、プロジェクトレベルで会社のゴールと厳しく相関しています。社訓を決めるところも多いのですが、これを本当に全ての面で実行していたのがDPRの強さじゃないかと思います。どの社員でもDPRのカルチャーについて誇り高く語ることが出来ます。
社内も建設会社と思えないほどカラフルで遊び心に溢れています。まさにEnjoymentとUniquenessの宝庫です。すべての支社にワインバーがあり、5時以降は社員が集まります。社内は見るだけで楽しさが充満しており、笑い声も絶えません。DPRの開くパーティは業界でも人気があって、歴史的な建物を使ったり、チア・リーダーを招いたり、様々な余興が用意されます。仕事するだけでなく、トレーニングの充実は圧巻ですし、毎週何かのイベントがあります。
Integrity(誠意)というのは建設会社からなかなか感じることのできないものですが、DPRはとにかくオープンで、施主に嘘をついて仕事をとる、ということをしません。最近は新しいリスクをシェアする契約方法を好むようです。そしてEver Forwardというように、新しい方法論をどんどんと持ってきます。今はスタンフォードの病院を建設予定ですが、プロジェクトの進め方から改革し、スタンフォード大学と強力してより効率の良い設計と建設方法を導入しているようです。
ビジョンを共用すると、社員だれもがそのビジョンに至るための努力をします。ですので、きちんと結果につながりますし、なによりも会社としてブレないので無駄が無い。不景気になって、だれもが海外に出ようとした時、ローカルにこだわって、地元のクライアントをとにかく満足させることにこだわったのもDPRの凄さです。芯が通っていると言えます。リーダーシップの強さがもちろんキーですが、DPRの社員も共通項があります。よく「タイプA」と言われますが、社交的で話好き、情熱的で楽しい、という社員が沢山います。10人以上の面接をクリアした人だけが雇われる、という面接方式が、人を選ぶ大事さを示しています。電話をして受付の対応の楽しさだけでDPRの良さがわかる、とも言われます。
景気が良かったころのシリコンバレーは、高給取りのハイテク・エンジニア達が幅をきかせ、建設会社のような二次産業で働く人を見下していた時代で、私もよく「シリコンバレーまで来て土建屋?」と嫌味を言われたものです。本当のシリコンバレーの良さというのは、テクノロジー賛美でなく、イノベーションの精神では無いでしょうか?それをDPRはハイテクという分野でなくとも完璧に実行したと言えます。いまやDPRは建設界のブランドでもあって、クライアントの中にはDPRじゃないと嫌だ、という会社もあるくらい、会社としての個性を確立しました。2030年にどういった会社になっているのかとても楽しみです。
Comments