不景気も悪化の一途の中、就職氷河期はまだまだ続いているようです。ひとつの仕事にあまりに多くの履歴書が送られてくるので、中には大学の名前だけで第一選考をするようないい加減な人事もあるほどです。このせっかくの「買い手」市場、会社は本当にこの不景気を乗り越えるための「人」の雇い方を考え直す必要があると思います。徒然的に自分の考えや体験を忘れないうちに書いておきます。また後日書きなおしが必要だと思いますが。
まず、100年に一度の不景気という時代は淘汰の時期でもあります。景気の良かった頃の方法論がほとんど否定され、企業は今こそ新しいアイデアを持ち込まなければこのパラダイムシフトで堕ちて行ってしまいます。実際に、何もしなかったため、業績が低迷どころか急降下している会社も多々あります。
いままでの学歴やブランド会社という職歴重視でなく、会社は真剣に会社に必要な人材を取る工夫をしなくてはいけません。技術や経験だけを重視して、単純に「会社の歯車」を雇うのが普通の雇用方法ですが、これなら会社の改善にもあまり関係無いですね。今、会社に必要なのは、技術や経験以上に、もっと全体的な視点を持って問題を解決の出来る人では無いでしょうか。今までの景気が良かった頃の「パフォーマー」と呼ばれる人達は、好景気の中で成績優秀であっても、今までに見たこともないような大問題の中で「パフォーム」する保証はありません。実はアウトライヤーから人を探し出す工夫が今の人事では課題なのです。これさえ気づいていない会社も多いのですが。確か昔に大前研一さんも、会社のパフォーマーと呼ばれる人以外の中にしか本当に凄い人は居ない、というような意味のことを書いてられたように思います。
実際にGMATもどきのような選択肢で問題解決能力テストをする会社もありますが、あれも統計学的に平均的なパフォーマーしか見つけることができない。中には質問の意味を疑問視できるような革新的な考え方の人は篩にかかりません。もちろん、アインシュタインのようなタイプは絶対にひっかからないでしょう。テクノロジーがあまりに複雑化するシリコンバレーで、特殊な知識を持っている人(すでにアウトライヤー)を探す目的でグーグルが博士号保持者を優先して採用した時期もあるという噂もありましたが、これもあまり結果と結びつきが無かったと耳にしました。
私の例を書きます。以前に転職活動をしている際、面白い会社に出会いました。特に仕事内容に深い興味があったわけでは無いのですが、この不景気に急成長している会社、という事実に自分も興味があり、相手もぜひ面接をしたい、という話でしたので、早速その会社がある街に飛ぶことになりました。
その会社で面接のリードをとったのは人事でもディレクターでもなく、会社のイノベーションを担当するという人でした。まずフルタイムでイノベーションだけを担当する人が居るという会社にも驚かされました。彼は私の専門分野について特に詳しいわけでも無かったので、どうやって私のスキルを確認するのがちょっと困惑をしたのは本当です。
その担当者は、非常に威圧的で、「この面接は私が聞く質問に素直に答えれば良い」と始まりました。彼はまず「中学生に戻ってくれ」と。まったく困惑した私の反応を喜ぶかのように、「中学時代を説明してほしい。何をやっていたのか、何を考えていたのか」と。最初は性格テストの部類か、育った背景などについての興味かと思い、淡々と答えていました。相手の質問の例として「どういう部活をやっていたのか、なんでそれを選んだのか」「一番良かった思い出は何か」「一番つらかった時は何か」などです。
次の質問に移って聞かれたのが「では、高校生の時の事を話して欲しい。」一瞬あっけにられた私から出た言葉は「まさか、これから大学、就職、と現在までの自分の体験を全部語らせる気??」でした。相手は「その通り。」私はその時点から相手が何を探しているのか、質問内容に徹底的に注意を向けるようにしました。質問が大学に入った時、やっと自分の中で何かが見えたような感じがしました。
この会社は、実は私が自分の人生を生きる上で、何に興味があり、どういう判断をして、どうやって自分という人間をつくってきたのかという筋道を見定めようとしていたのです。もっと言うと、育つ過程に置いて、私が自分自身の挫折をどのように乗り越え、成功をどのように活かしてきたのか、調べていたのです。私の選んだ全ての判断が「繋がっている」ことを見極めていたのです。私がこれを指摘すると、相手はやっと固い表情を崩しました。「考えてみろ。この会社が探しているのは、ただ単に技能や職務経験がある人じゃない。実際に問題を解決出来る人間だ、いや、問題を先読み出来る人間だ。そのためには、貴方が本当に思慮深く、自分のために最善の判断を尽くして生きてきた証拠が必要だ。」と。
こんな会話もありました。日本の大学はあまり厳しい場所では無いですが、私は3年になったころから必死に勉強をするようになったことを説明すると、相手は「説明が通ってない」「突然勉強を始めるには理由が必要だ」など、挑戦してきます。私は自分の中で勉強への興味や、実は子供の頃から変らない自分の性格や姿勢について思い出すことになりました。
実務についての質問もありましたが、まるでトンチ教室です。「一週間かかる仕事を1日でやれといわれたらなんというか?」とか「間違いの見つけ方は?」など。この会社は、職歴や学歴でなく、本当に問題に対応出来る頭脳を持つ人間のみを探していたのです。このイノベーションの担当者は、このような人選方法に変えてから、会社を辞める人はゼロになった、と。そして、会社の実績も急上昇していることを再度指摘しました。この会社のビジネスを見せてもらうと「だれもやってなかったこと」をいろいろとやっているのが分かりました。この発想の転換も、この不思議な人選で集まった人達から出てきたアイデアだそうです。
なるほど、自分の人生とは確かに会社そのもののようなもの。ゴール(目的)があって、そのための手段を身につけ、変化がおこればチェンジマネジメントをする。面接後はこちらから深くお礼を言う結果になりました。本当に楽しかった、この面接は今まで最高だった、と。
その後、この会社から強い興味があるという連絡があったのですが、私が仕事そのものの内容に深い興味が無かったのが原因だけでなく、莫大なリロケーション費とサラリーで折り合いがつかず、残念ながら辞退、という結果になりました。
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
Posted by: 履歴書の書き方 | 12/27/2010 at 10:26 PM
おめでとうございます。都筑です。
ブログを読んでいて、今の会社を受ける時に、人事部長(現退社)に、同様の質問を受けたのを思い出しました。
ただ、彼女は楽しかった思い出を語らせるのに終始し、挫折を乗り越えた経験を聞かなかったと思いますので、似て大きく非なるものであったと思います。
しかし、私は思うのですが、双方の面接方法に共通している「経験」「過去」への問いかけから「現在の力量や考えている事」は、想像がついても「未来の伸びしろ」は、想像がつくのだろうかと。
私は非合理的な話しをしますが、そういう場合は「カン」というか、その人から「感じる」部分を大切にします。
Posted by: Noboru Tsuzuki | 01/03/2011 at 06:46 AM
久しぶりです。2度のPCクラッシュでいろんな人の連絡先がわからなくなってましたがネットサーフィン(死語)でここにたどり着きました。こんなとこでつーやんと遊んでたんですね。おもしろい記事を書いてますね。いろいろばらまいてみます。
Posted by: Naohide Taniguchi | 01/03/2011 at 11:07 PM
なんか筑波臭が。
Posted by: Mozan Totani | 01/05/2011 at 07:48 PM