会社で働いていると、必ず聞くのが「あのプロジェクトで俺は会社に数億円の利益を与えたのだから、俺の給与も一億くらい上がっても良いはず」というセリフ。実際に、プロジェクトで得た利益を事細かに証明し、昇給をネゴする人も少なく無い社会でもあります。
しかし、いつもそういうセリフを言う人ほど、チームの中で弱い人だという印象を受けます。なぜなら、プロジェクトの利益はその個人の手柄であるという事実はほぼ無いからなのです。もちろんその人は功績をあげたチームの一人であるという事実に変わりはありませんが。
例えば、赤字になるプロジェクトもありますが、それがプロジェクトチームの責任で無いこともあるのです。もともと「負け戦」であるプロジェクトにコミットしたコーポレートの責任である場合が多々であったりします。だから、結果だけいうと、プロジェクトの利益率はあまり個人の実力を図る指標に使えない。ただ、この方法論なら簡単であるというだけです。
単純に巨額の利益を上げた仕事についても、実はクライアントを見つけたBDの要素が大きかったり、実は見積りやファイナンスのおかげだったり、現場のプロジェクトチームの飛び抜けたような功績では無いというケースも山のように見ました。そういったプロジェクトをさがす方向に会社を持っていったCEOの功績だったかもしれません。つまり利益が出るはずだっただけの仕事の担当になっただけの人も多いのです。実はその巨額の利益はもっとうまくやればその2倍とれたかもしれません。
プロジェクトの成功は、会社へのリスクを最小限にしながら、ベネフィットを最大限に出来たことではないでしょうか。会社が避けられなかった負け戦でも、ダメージを最小にしたプロジェクトチームも正しい評価を受ける必要があります。会社は、包括的にプロジェクトの成功を測る方法を見つけなくてはいけません。例えば、クライアントや下請けとの関係の保持など数字にならなくとも長期的に会社に与えるベネフィットも見なくてはいけません。
中には、最初のプロジェクトを赤字で契約して、実力を見せつけ関係を築き、二つ目のプロジェクトにつなげる方法もあります。どんなに少ない利益でも、著名クライアントと仕事をすることで会社のレジュメをパワーアップする作戦もあったりします。
会社というチームダイナミクスから見直すと、上記のような会社の長期的利益を意識できる社員は、本当のチームの意味を知っているのです。そして、そのためのアクションを必然的に行っているというわけです。そういった環境で「俺個人の功績だ」「会社に利益を与えているのは俺だ」というセリフが出る社員は、意識がとても浅く、実はチームという環境で足を引っ張っている人であるケースがほとんどなのです。