プロジェクトマネジメントで必ず冗談で言われるのは「プロジェクトは失敗するためにある」という言葉。実際に、時間通り、予算どおり成功したプロジェクトは数少ないのが実際で、そのためにプロジェクトマネジメントというのは日々研究されているのです。ただ、トンチのようなプロジェクトマネジメント教本が多いのが実情で、なかなか状況が改善されません。この問題は表層的・物理的な方法論に頼りすぎるのが問題かと思います。
建設プロジェクトは、数あるプロジェクトで一番書類が多いと言われます。それは、全てのプロジェクトが「カスタム」だからです。土地、行政、設計者、用途、施工会社、全てが異なります。そのため、プロジェクトごとに方法論が変わってくるということです。これが建設プロジェクトが絶対にマニュファクチャリングになれない、という言い訳の王道です。
マニュファクチャリングに学んで、シミュレーションしてしまおう、とBIMのようなアイデアもあります。それこそジャンボジェットを設計するように建物を設計時点で全て三次元化して、施工時のかみ合わせの問題を事前に解決しようとする試みも人気で、これは主流となると思います。現在は車でも電子機器でも、全てCAD上でシミュレーションを走らせた上で製造に入るのが当たり前です。こういったプレ・プランニングつまりは建設でいうプレ・コンストラクションにかける時間が少なかったことが見直され出したのは確かです。
しかし、そういった「小手先」に走っても、やっぱり建設プロジェクトは遅れるし、予算もオーバーになります。この決定的な問題は「カスタムメイド」という言い訳と、「プランニング」という罠に隠されているように思えます。
プランニング(計画)の多くが実はプランでなく、達成したいゴールを想定する作業でしかないのが問題です。実はBIMを含めたシミュレーションというツールは物理的なClashを解決する以上のツールでしかなく、「やり直し」や「待ち時間」をある程度軽減する以上の価値は無いのかもしれません。シミュレーションの精度をどんなに上げても、プロジェクトスケジュールの精度が上がるわけでも予算が守られるわけでも無いのがこの証拠です。プロジェクトはそれでも遅れるのです。
では、本当の建設プロジェクトのロスタイムというのは、実はもっとソフト面でのロスタイムが本質なのです。モノだけでなく、「ヒト」です。これは人とい個人の能力、コミュニケーション、目的意識、全てが問題です。モノをつくるヒト達が完全にプロセスにエンゲージして、サービスと連携していないと、プロジェクトは必ず失敗するのです。では、どうやってヒトを構成するか。
私はシミュレーションだの表層的な手法論を最近捨て、サービスとマーケットが直結するメカニズムを守るチームを構築することをプロジェクトマネジメントの基本としています(仮定)。つまり、マーケット(クライアント)が何を欲っしているのか、を徹底的に知るのです。恣意が入るため、「分析」はしません。「知る」だけです。そして、そのマーケットが必要とするプロダクトまたはサービスを構築し、プロセスで間をつなぐ。これだけです。シミュレーションだのLeanだのJITだの、そういった手法は次元のちがった議論でしかないのです。
クライアントに小手先ツールを売る前に、真のマーケット・インテグレーションを目指すのが大事かと。そのためには、徹底的なトランスパランシーも大事でしょうし、自分のポジション付けが大事になります。ただの「尻たたき」がPMだと信じている人はこの域に達しません。
米国では「Vacuumで考えるな」というセリフがあります。「真空」で考えても、自分の勝手な考えしか思いつかないのです。シミュレーションだの手法の多くが独りよがりで、実はクライアントというマーケットとつながっていない。だから、マーケットとの連結を失ったプロジェクトは蛇行し、遅れ、予算オーバーとなるのです。
マーケットとつながるメカニズムをもったプロジェクトマネジメントは、プロセスさえ完璧で無いように見えて、実はブレない。プロジェクトチーム(ヒト)はプロセスの技能で選ばれるのでなく、ゴールを目指すチームとして選ばれ、皆マーケットに連結するボンドとして働くので、プロセスに溺れず、効率高く働くのです。
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